食の専門職大学設立推進事業

わが国はGDPの7割以上が非製造業のサービス産業ですが、その生産性の低さやレベルの低さが日本における決定的な構造的問題であると指摘する専門家も少なくありません。今後の日本経済はモノ作りが海外に移転される中、サービス産業を更に活性化し雇用を創出しなければなりません。特に飲食、卸、小売、流通、宿泊などは規模が零細で、新しいビジネスモデルも生まれにくく、価格だけの競争が激化するばかりです。この状況の背景には教育レベルの低さに起因するところが大きいと思われます。アメリカでは半世紀以上前から多くの大学の経営学部の中に、ホテルレストラン学科を設置し、大学の敷地内に実習用のホテルを所有するところも少なくありません。ニューヨーク州にあるThe Culinary Institute of America (通称CIA)は調理の職業訓練校としてスタートしましたが、1971年には大学卒業の学位が取得できる高等教育機関となっています。その点、日本には経営学部の中にも専門職大学院としても独立した学科が少なく、先進国としては考えられないほど、この分野の教育が遅れているのが実態です。2017年になって文科省もようやく実践的な実習を重視する専門職大学を制定しましたが、食分野ではまだまだ少ないのが現状です。我々は米国のCIAやイタリアのガストロノミー大学をモデルとして外食産業ばかりでなく、第一次産業の再生や小売業の教育も包括した日本独自の食の専門職大学の開校を目指します。

当一般社団法人の代表理事である古市はThe Culinary Institute Of Americaを1987年に卒業し、現在はCIA日本同窓会の代表幹事を務めています。2010年にCIAカリフォルニア校で開かれたJAPANをテーマとしたWORLDS of FLAVOR® CONFERENCEではTeam of Japanの一員として日本を代表する39名のシェフと共に日本料理の素晴らしさを発表しました。

また、古市は外食産業を経て1990年には味の素株式会社の子会社でコンサルティング業に転じ、1995年に食関連のコンサルテイング会社、フィーストインターナショナル株式会社を設立しました。

数々のコンサルティングの現場で食に関する知識を持った人材が少ないことに直面し、本人が卒業したCIAの様な大学ができればと活動を続けています。

モデルとするCIAとは

The Culinary Institute Of America (CIA) の原型は1946年、米国における初めてのレストラン専門学校として Frances Roth と Katharine Angell によりコネティカット州に設立されたThe New Heaven Restaurant Institute である。

50人ほどの生徒と共にスタートしたこの学校は、当時第2次世界大戦後の退役軍人の職業訓練校としての役割を持ち、外食産業の発展と共に1952年にはその名前を現在のものへと変えた。1971年に全米で初めて Associates in Occupational Studies (準学士号)を取得できる料理大学となり、 1972年、約1,000人の生徒を抱え現在のニューヨーク州ハイドパークへとその校舎を移した。現在も、料理専門の教育機関では世界で唯一の寄宿舎を備えた学校であり、約3,000人の生徒がそのキャンパス内で学んでいる。

現在、学校のメインビルディングである Roth Hall 内には、学科用の教室とともに最新の設備を備えた39のキッチンとベーカリーが存在し、生徒が働く5つのパブリックレストランがある。その他、キャンパス内には Continuing Education Program や Baking & Pastry Program 専用の Shunsuke Takaki ビルディング、最新のものでは Colavita Center というイタリアの食とワインに関する建物が建てられた。